放射線科このページを印刷する - 放射線科

一般撮影

放射線科では、一般撮影、ポータブル撮影、CT撮影、X線TV透視、骨密度測定を行っており、診断を助ける様々な画像を提供しております。また、皆様に安心してエックス線検査を受けていただけるように常に安全管理を行い、わかりやすい言葉での説明を心がけています。不安な点、疑問に思うこと等がございましたら、なんでもご相談ください。

一般撮影

一般撮影

X線を使用して、胸部や腹部、全身の骨などの撮影を行います。胸部の撮影では心臓や肺、腹部ではおなかの臓器などの形や腸管内の状態、骨の撮影では、骨折の有無や関節の状態などをみることができます。2018年11月より従来のCR装置を更新して、フラットパネル(FPD)方式の装置を導入し、画質の向上と被ばくの低減に取り組んでいます。

ポータブルX線撮影

ポータブルX線撮影

撮影室までお越しいただくことが困難な患者さんに、病室でのエックス線撮影を行っております。
2021年2月より一般撮影と同様のフラットパネル(FPD)方式の装置を導入し、病室で撮影して数秒で画像が確認可能となりました。従来に比べ格段に早くきれいな画像を低被ばくで提供しています。

ポータブルX線撮影

CT撮影

一般撮影では写し出すことのできない骨に囲まれた脳の様子や、肺の影を空間的に診断することが可能です。ベッドに仰向けになり、ドーナツ状の機械に体をいれて撮影します。痛いことはございません。検査時間は、撮影場所にもよりますが、5分~15分程度です。
現在は輪切りの写真だけではなく、細かいデータを利用して様々な断面の画像や3D(立体)画像を作成して、病気の診断に役立てています。

CT撮影

X線TV透視

X線TV透視

動画で動きを見ながら、カテーテルを目的部位まで進めるといった検査ができます。それから、臓器や骨格の動き方、造影剤を使うことにより、食べ物を飲み込む様子なども見ることができますよ。

X線TV透視

骨密度測定

骨密度測定

骨粗しょう症の診断に用いる検査です。超音波を使って、踵(かかと)の骨で測ります。座ったままで踵を装置に20~30秒ほど乗せるだけで終わる簡単な検査です。骨粗しょう症になると転んだりした際に骨折しやすくなるため、定期的な検査で自身の骨密度を把握することをおすすめします。

骨密度測定

Q&A 放射線ってあぶなくないの?

放射線(エックス線)とは

エックス線は、テレビやFM放送に使われている電波と同じ電磁波の一種です。電磁波には、虹に代表される可視光線のように眼に見えるものもあります。赤色より波長が長いものを赤外線、紫色より波長が短いものを紫外線というように、波長によって呼び名が違います。エックス線はその中で特に波長の短いものです。一般的に放射線と言うのはエックス線のように、空間や物質を透過し、エネルギーを伝える能力があるものを言います。

放射線を浴びると

放射線(エックス線)を浴びると必ず悪い影響が起こるわけではありません。もっとも低い線量で現れるものとしては胎児への影響とがんがありますが、検査で使用する放射線の量※は、それらの影響が出るといわれている量よりもはるかに少ない量を使用しています。そして必要な場所のみに必要最低限のエックス線量で検査を行っています。心配なさるようでしたら、遠慮なく検査に使用した線量を、私どもにご確認ください。分かる範囲でお答えします。

【メモ】 ※検査に使われる放射線量

胸部エックス線写真を一枚撮られると浴びる放射線は0.05ミリシーベルト、胸部CTだと8ミリシーベルトという量です。放射線の大小をあらわす単位としてシーベルトというものがあります。1シーベルトはかなり大きな量なので1シーベルトの1/1000のミリシーベルトや1/1000000のマイクロシーベルトがよく使われます。

胎児への影響

がん以外で、浴びた人間に何らかの影響がおこるしきい線量(安全と危険の境界値)は、100ミリシーベルト※という量です。これより少なければ、放射線による障害は起こりえないといえます。これは胎児(妊婦の腹部)が器官形成期に、この量を浴びた場合、もしかしたら胎児に奇形が起こる可能性があるといわれる放射線量です。浴びたら必ず起こるというわけではありません。(もちろん胎児への影響は男性や、妊娠する意思がない女性には関係がありません)。

【メモ】各臓器・組織の確定的影響のしきい線量

組織臓器 影響 被ばく線量(ミリシーベルト)
生殖腺
(女性)
一時不妊 650~1,500
永久不妊 2,500~6,000
生殖腺
(男性)
一時不妊 150
永久不妊 3,500~6,000
水晶体 白内障 2,000~10,000
水晶体混濁 500~2,000
骨髄 造血能低下 500
胎児 流産(受精~15日) ※100
形態異常(受精後2~8週) ※100
精神発達遅滞(受精後8~15週) 120

がん

もうひとつの影響はがんです。特に放射線感受性が高い骨髄への被ばくで、白血病を誘発することがあります。放射線は浴びた放射線量に比例して、がんになる可能性が高まりますが、多くの発がんの要因※のひとつにすぎません。放射線によってがんになるリスクはとても小さく、バランスのとれた食事や禁煙を心がけるほうがうんとがんを予防するのに効果があるといえます。実際、広島、長崎の原爆被爆者の疫学調査で、200ミリシーベルト以下の低線量被爆のグループの中で、統計的に有意な白血病の増加は認められておらず、200ミリシーベルト以下の線量では、X線検査の被ばくによる白血病の発生を心配することはありません。

【メモ】 ※人の発がんの要因
食物・栄養35%、タバコ30%、感染および不明13%、生殖および性習慣7%、アルコール3%、放射線・日光3%、環境汚染2%、医薬品・医療1%、食物添加物1%、工業生産物1%(リチャード・ドルらによる見積もり、1981)

放射線管理

放射線科では、患者さんにとって有益な情報が得られることを前提に検査を行っておりますので、放射線を浴びたことばかりにとらわれることのないように。ちなみに入院中、同室の患者さんがポータブル撮影を受け、同時に自分にも放射線があたってるのではないかと心配される患者さん、ご家族様もいらっしゃると思いますが、腹部撮影一回あたり、同室の患者さんに当たるエックス線の量は、2.8m離れていれば0. 24マイクロシーベルト、一年当たりの自然放射線※2.4ミリシーベルトの1/10000になり、仮に1万回行われたとしても、健康に影響を及ぼさない量だというのがお解りになると思います。このように、大切なのは放射線を浴びないことではなく、障害が起こる線量を超えないように管理することです。また「病棟ポータブル撮影時散乱線マップ」等、分かりやすい資料を用いて、入院患者さんやご家族および病棟スタッフにも知識共有をしております。

我々診療放射線技師は、放射線の専門家としてみなさんの健康を手助けしたいと考えております。

【メモ】 自然放射線 検査を受けなくても、わたしたちは日常生活で、気づかないうちに常に宇宙からや大地、食物等から放射線を体に受けています。ごく少量ですが体内にも放射線物質が存在します。(ちなみに東京-ニューヨーク間を飛行機で往復すると0.19ミリシーベルト被ばくします。これは宇宙からの放射線が上空にいくほど高くなるからです。)

病棟ポータブル撮影時散乱線マップ (PDF 11MB)

参考文献
放射線のABC / 社団法人 / 日本アイソトープ協会著 医療被ばく説明マニュアル / 日本放射線技師会出版